2008年3月アーカイブ

FXの確定申告

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最近、FXで大儲けした人の脱税がニュースになっていますね。

すごい金額を稼いでおいて、良くぞ脱税なんかしたなと思うものですが、実は本人は知らず知らずのうちに脱税してしまっていたということがあるので、注意が必要です。

FXの税金申告はサラリーマンの源泉徴収や株の特定口座とは違い、その責任を投資家に任されています。
利益が少ないから良いのかも、とか、申告の仕方がわからなかったので申告しなかった、というのでは後で痛い目をみることになりますよ。
もし、税務署の調査が入るまで申告をしていないと、本来納めるべき税金に対して、15%の無申告加算税と延滞金を課せられます。

悪質と判断されるような場合には、35~40%の重加算税の上乗せがあります。
けれども確定申告では、税金は支払うだけじゃなく、お得になるケースもあります。
所得税とは、1年間に稼いだお金に対してかかる税金のことです。この稼いだお金の総額から、必要経費を控除してもらえるので、所得税が少なくなります。必要経費分を申告することによって、納めすぎていた税金が戻ってきます。
通常サラリーマンの場合は、会社で年末調整を行ってくれますから、確定申告は不要です。しかしあなたが投資をしていて、利益が出ていたら申告の必要があるかも知れません。
また、損をしていたから関係ないというものでもなく、他の所得と相殺できるケースもあります。チェックしてみましょう。

詳しくは、国税庁のサイト<確定申告特集>にアクセスしてみてください。税務署に直接でんわをしても教えてくれます。

FXの税金は2通り

投資にかかる税金は、金融商品の種類によってまちまちなので複雑です。
とくにFXは、取引の種類によって2種類の納税方法に分かれるので注意が必要です。

 まず、あなたの行っている取引が「店頭取引」なのか「取引所取引」なのかを確認してみましょう。
取引所を通さずにFX会社と投資家との間で直接やりとりするのが「店頭取引」。ほとんどの方がこの取引方法だと思います。
もう1つが、東京金融先物取引所が運営する「くりっく365」を通じた「取引所取引」です。

良くわからないという場合は、口座を開いている金融機関で確認できます。

相対取引業者の場合

おそらくみなさんの大半を占めるのが、取引所を通さずにFX会社と投資家との間で直接やりとりする「店頭取引」ではないでしょうか。この取引の場合、為替差益や受け取ったスワップ金利などは「雑所得」となります。「雑所得」は、お給料などと合わせて申告しなければなりません(総合課税)。
総合課税とは、すべての所得を合計した総合額に税金が課されるということです。 サラリーマンならお給料と合わせ、年金生活者なら年金収入と合わせ、すべての所得から税金が差し引かれます。
日本は、所得額が上がれば上がるほど税率が高くなっていく累進課税制度なので、「総合課税」ではFXの利益が増えると税率も高くなります。

ただし、年収が2000万円以下のサラリーマンの場合、給与所得以外の所得が20万円以下(複数の会社から給与を得ていないことなどが条件)なら、確定申告書を提出しなくても良いという特例があります。 
本年中に確定したFXの利益が20万円を超えているなら確定申告が必要であると考えておきましょう。

上記のような相対取引の場合は、「申告書A(第1表、第2表)」という用紙に、所得や給与、控除額などを書いて税務署に提出します。
申告書のほかに、源泉徴収表や取引の明細が分かるものを準備しておきましょう。


 では、いったいいくら税金を払うことになるのかが気になりますよね。
所得税の税率は5%から40%まで6段階に区分されています。ですから、所得が高くなるほど高い税金を支払う累進課税になっているのです。同じように取引していても「取引所取引」の方が税制面で有利になるケースもあり、かなり大きな儲けが出た場合には納税額に違いが出ます。


くりっく365を使った取引の場合

東京金融先物取引所が運営する「くりっく365」を通じて行うものを「取引所取引」といいます。
くりっく365に掛かる税金は、申告分離課税で一律20%と、
税制上優遇されています。
くりっく365で適用されている分離課税とは、FXの利益のみを分離させて税金を計算する仕組みです。 給料など他の所得に課される税金は、その税金として支払って、FXはFXで別個のものとして計算します。
どのくらい優遇されているのかと言うと、年収が300万円の人が50万円の利益を上げたとき、税金が大体2万円くらい少ない程度です。ちなみに、一千万円の利益が出たときには、150万円くらいの差が出ますから、だいぶ違います。まぁ、一千万円儲けた時の話ですけど。

取引所取引の場合には、もし損益が確定してしまっていたら、損失分を翌年以降に繰越せるメリットも受けられます。

 必要な書類は「申告書B(第1表、第2表)」、「第3表(分離課税用)」、「先物取引に係る計算明細書」という用紙に、所得や給与、控除額などを書いて税務署に提出します。損失の繰越をするなら第四表(損失申告用)も必要です。

入手方法は、
1.国税庁のホームページからプリントアウトする。
2.所轄の税務署から送ってもらう。
3.最寄りの税務署へ取りに行くなど。

申告書のほかに、源泉徴収票や取引の明細が分かるものを準備しておきましょう。

◆知っておきたい実用知識◆

1.雑所得はすべて合算する。
複数の業者と行なっているFXで発生した利益はもちろん、外貨預金で発生した為替差益、年金などなど、雑所得に当たるものはすべて合算します。 もし、その合計額が20万円を超えた場合には、年収が2,000万円以下のサラリーマンであっても、確定申告をしなくてはなりません。

2.ある雑所得がマイナスとなっても、他の雑所得の額から控除できる。
 例えば、2つの会社で、FXを行なっていた場合。
そのうち1社の取引で首尾よく利益が発生し、100万円の利益となったものの、もう1社の取引では120万円の損失が発生し、結果的に収支がマイナスとなったとします。
このような場合には、20万円の損失を年間雑所得の合計額として申告することができます。
 このような損失分の控除は外貨預金の為替差益など雑所得同士ならば、どんなものにも適用されます。

3.必要経費が認められている。
 FXでかかった経費を確定申告の際届け出ると、所得額から控除されます。
主なものとして、売買手数料がありますが、そのほかにも、
・文具
・通信費
・新聞代、関連雑誌代
・パソコン購入費
などが認められることがあるようです。

一口に新聞代と言っても、読売新聞はだめで日経金融新聞ならOKとか、通信費も全額はまず認められず、一部が控除の対象になるようです。

そのほか、FX取引を行う事業者(個人でFX取引を行う方に関しては微妙です。セミナー参加費に関しては認められるかもしれません)であれば、セミナー参加のための交通費や参加費用が控除されたり、情報収集などの目的で取引会社の社員と会食をするといったことまでが認められたりします。

当然ですが、申告には領収書などの添付書類が必要になります。
取引の売買手数料ならば「取引残高報告書」や「売買報告書」。領収書が出る場合には「領収証」などです。


4.書類の保管
今年度の申告が必要でなかった方。その方たちもその年の関連書類を捨ててしまわないほうがいいのです。
何年も経ってから、いきなり税務署に書類の提出を求められる可能性もあるのです。
 たとえば、2つの業者で口座を開いてFX取引をしているとします。
一方の会社では50万円の利益があり、もう一方のB社では40万円の損失が発生した場合。両社を合算すると収益は10万円になりますね。20万円以下の収益では申告の必要がなかったので申告しませんでした。
ところが、何年か経ってから税務調査が実施されることになり、過去に50万円の益金があったにもかかわらずその年に確定申告をしなかった理由を求めてきます。
そんな時、その当時の書類を破棄してしまっていたら確定申告をしなかった理由を証明できないことになります。
最悪の場合には修正申告をさせられたり、追徴課税を掛けられる可能性もあるのです。

税務署は最高で過去7年間の書類を提出するよう求めることができます。ですから、添付書類は少なくとも7年間手元で保管するほうが安全です。

5.申告に行く時は…
信じられない話かもしれませんが、確定申告は受理する人によって経費の判断が若干変わってきます。
上に少し書きましたが、申告の際、経費で認めてもらえるものの定義は案外あいまいです。
経費として認めるか認めないかは最終的には税務署員の判断によるものなのです。
ですから、こちらが税務署の職員に対して心象を悪くするような態度であれば、経費を認める基準がきびしくなる可能性もあるのです。細かなところを突っ込まれ、結局経費として認められないようでは困ります。こちらの予定道理の計算で経費を認めてもらうにはそれなりの心構えが必要かもしれませんね。

実は私は過去に税務署の臨時職員をやったことがあり、確定申告も手伝ったのですが、「あいつ、態度が悪いから基準きびしくしてやったよ」なんて底意地の悪い人はいらっしゃいませんでした。
ですから、あまり緊張しすぎることはないと思います。
しかし、最近はFXで稼いだお金をごまかそうとする人がいるせいで、我々は疑われやすい立場にあるわけです。 どのような対人関係においても謙虚であることは、やり取りをスムーズにするものですから、そんな気持ちで挑んでみてください。
ちなみに、 こういった謙虚な態度で申告に行く重要性は、税務関連のセミナーに出席すると必ずと言っていいほど含められます。

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